東芝製の掃除機「トルネオ」のヘッドに付いている床ブラシ(回転してゴミを掻き出すブラシ)が「動かない・回転しない」というトラブルでお困りの方へ、修理方法を紹介します。
先に結論をお伝えすると、掃除機ヘッド内部にあるリミットスイッチが故障原因でした。
僕はリミットスイッチをネットで購入して自分で交換しました。
下の写真がリミットスイッチです。掃除機のヘッドの底面が床に付くと、上部の?型のレバーが押されてスイッチを押す仕組みになっています。
リミットスイッチは楽天、Yahooなどのショッピングサイトで購入できます。
この記事はDIY初心者向けではなく「中級者向け」(※)というタイトルにしています。
なぜかと言うと、半田(はんだ)付けの作業があるからです。
となると、はんだ付けに失敗して基盤を壊してしまうリスクがありますし、はんだごて、はんだ、こて置台などを持っていない方は道具を買い揃える必要がありますのでハードルが少し高くなります。
ですが、やる気と根気さえあれば、半田ごてを買ったとしても3,000円でおつりがくるぐらいの費用で修理ができますよ。
さあ、あとはあなたのやる気次第です!
このページを読むのは無料ですので、軽く最後まで読んでから自分で修理するかを決めてください。
(※)はんだ付けに抵抗感のある方向けに、初心者向けの修理方法も紹介しています。
※この記事を参考に作業を行う場合は作業内容を十分理解した上で、KY(危険予知)を行ってから作業願います。故障、感電、火災、ケガなどのいかなるトラブルに対しても責任を負いかねます。
掃除機のヘッド(床ブラシ)が動かなくなった原因
壊れたものを修理する時は共通した手順があります。
- 故障した個所を特定する
- 故障した個所を直す(または交換する)
- (再発防止策を講じる)
まずはヘッドが動かなくなった(回らない)原因を突き止めていきます。
そのためには、掃除機ヘッド内部の床ブラシが動く(回る)仕組みを知る必要がありますので、ヘッドを分解することにしました。
掃除機のヘッド(床ブラシ)の分解方法
まずはお手入れカバーや回転ブラシを取り外します。
その後、ねじ止め(4か所)されている箇所を外すところから、本格的な分解がスタートします。
下の写真の通り、床面のネジ穴はホコリで埋もれていました。。。
ピンセットを使ってホコリを掻き出してから、ネジを外します。
続いて、上面根元付近の蓋を取り外します。下の写真のように先端の細いピンセットを使うと作業がしやすいです。
極力傷を付けない(つけたとしても目立たない)ように、隙間を探しながらピンセットをねじ込みます。
この蓋はツメではめられているだけですので、こじれば外れます。
フタを外すと下の写真のような感じになります
(ツメの位置が分かりますので、外す時の参考にしてください)
同じような方法で反対側のフタも外します。
ここまでは、それほど苦労することなく外せると思います。
分解の一番の難所
僕が分解した工程の中では赤いカバーを外す作業が一番難しく感じられました。
黒い凸部に引っ掛かっているロの字部分の強度が薄くて弱そうだったので、少し歪ませるとパキッと折れてしまいそうだったからです(下記写真の赤丸部分)
先端の細いピンセット(※)は大活躍です。
ピンセットを慎重に隙間に押し込んで、赤いカバーの「ロの字」部分を持ち上げるようにして外しました。
上の写真はピンセットをテコ代わりにして上の方向に持ち上げて「ロの字」部分を外したところです。
ここまでの所要時間は30分ほどです。
(※)工具メーカーで有名なHOZANのピンセットを愛用しています。いろんな用途に使えるので重宝しています。
あり得ないぐらい汚れていた掃除機ヘッドの内部
この後、とても汚い写真を掲載していますので、苦手な方はご注意ください。
掃除機のヘッドの内部を分解したのは初めてですが、ビックリするぐらい汚れていました。
特に床ブラシを回転させるためのモーター付近は髪の毛とホコリがギュウギュウ詰めの状態です。。。
お見苦しい写真でスミマセン。
(どの家庭の掃除機も、ヘッドの内部はこのぐらい汚れているでしょう。なぜなら分解しない限り掃除できないからです。)
掃除完了後の姿です。
下の写真で中央左側のプリント基板が、掃除機ヘッドの動作を制御します。
原因究明 仮説その① ゴミの抵抗でモーターが回転しない
僕が最初に立てた仮説は物理的な原因です。
平たく言えば、床ブラシに絡みついたゴミが回転を妨げているという仮説です。
先ほどの写真の通り、髪の毛が回転軸に何重にも巻き付いていましたので、かなり大きな抵抗となっていたはずです。
ですので、回転軸から髪の毛やホコリなどのゴミを取り除けば床ブラシが回転するのではないいかと考えました。
結論から言うと、この仮説は外れました。
ゴミを完全に取り除いた後で運転させてみたのですが、床ブラシを駆動するモーターは全く動きませんでした。
(とは言うものの、回転を妨げていたことには変わりないので掃除はするべきですね♪)
下の写真は掃除風景の写真です。
ピンセットでは軸に絡まった髪の毛を抜くことができなかったので、カッターを使って切りながら髪の毛を掃除しました。
掃除終了後の写真です。
ゴミが取り除かれて回転軸がちゃんと見えるようになりました。
最初の写真と比べると雲泥の差です。。
原因究明 仮説その② 床ブラシのスイッチの故障
掃除機ヘッド内の床ブラシ(回転部)は、床ブラシを床面に置いた時だけ回転する仕組みになっています。
ヘッドを床から浮かすと自動停止装置が働き、安全のために回転が止まる仕組みになっているからです。
ヘッドが床面と接触していることを検出するためのリミットスイッチが、下の写真の赤丸で示した基盤裏面についています。
下の写真は基盤裏面の写真です。ABJ151460という型式のリミットスイッチが付いています。
掃除機のヘッドの裏面が床に接触すると、?型のレバーが押され、レバー根元付近の黒いボタンが押されて検知する仕組みになっています。
僕はこのリミットスイッチが正常に動作していないのではないかと考えました。
試しにリミットスイッチの各端子間の抵抗値をテスターで測ったところ、ONの状態の時とOFFの状態の時で端子間の抵抗値に変化がなかったからです。
(リミットスイッチが正常に動いていれば、ONした時にはノーマルオープン側の端子間抵抗は0Ω近い導通状態になるはずです)
という訳で、床ブラシが回らない状態となった原因は、リミットスイッチの故障※であることを突き止めました。
※ネットで調べると、リミットスイッチの故障はよくある様子です。
リミットスイッチはどこで買えるか?
僕が買い物でよく使うのは、楽天、Yahoo!ショッピング、Amazonです。
早速それぞれのサイトでリミットスイッチを探してみました。
楽天、Yahoo!ショッピングのエコタウンというお店は、掃除機の詳しい分解図面まで添付されているのでかなり参考になります。
また、他の購入者のレビューは交換作業の際の参考になりますので、作業前に読んでおくと作業ミスの予防になります。
なお、はんだ付け作業に自信がない方、はんだごてやはんだ吸引機を買いたくない方は、基盤ごと購入することも可能です。
基盤の交換作業はプラスチックのカプラー(接続端子)を脱着するだけですので、格段に簡単な作業で済む点がメリットです。
値段が高くなることがデメリットですが、はんだごて、はんだ、はんだ吸引機などを買う必要のある方は、価格的な差が少なくなるので検討してもいいですね。
故障したリミットスイッチの外し方
掃除機ヘッドの内部の基盤は、上の写真のようにプラスチック製シートのカバーがかけられています。
基盤は下の写真の赤丸印の部分(3か所)にはめ込まれているだけですので、上の方向に少し力を加えると外れます。
外すと下の写真のようになります。
この後、はんだごてを使ってリミットスイッチを外す作業を行います。
配線がつながった状態だと作業しにくいので、プラスチックのカプラー(端子)を外しておきます。(上の写真は、赤黒の電線がつながっているカプラーだけ外した状態の写真です)
プリント基板を取り外すと、下の写真のようになります。
この基盤の裏面にリミットスイッチが付いています(赤丸印)
斜めの方向からリミットスイッチの写真を撮ると、こんな感じです。
さあ、ここからが本番です。
はんだごてを使ってリミットスイッチを配線しているはんだを溶かしていきます。
熱したはんだごてを下の写真のように当てて数秒待つと、はんだが溶けてきます。
このリミットスイッチは3本の足がはんだ付けされていますので、少々やっかいです。
なぜかと言うと、3か所を同時に溶かすことができない為、別の足を溶かしている最中に最初に溶かした部分が固まってしまって抜けないからです。
こんな時、はんだ吸い取り器を持っていると格段に作業がはかどります。
僕ははんだ吸い取り器を持っていないので、溶かしたはんだを少しずつ取り除きながらリミットスイッチを抜く方向に半田ごてで力を加えて外しました。
はんだごてを使う作業が久しぶりだったこと&慎重に作業をしたこともあり、1時間ほどかかりました。
リミットスイッチを外した後の基盤の写真です(表面)
プリント基板の裏面はこんな感じです。
【反省点】
はんだ吸い取り器を使えばよかったです。かなり時間がかかりましたし、あまりきれいにはんだが取れていません。。はんだ吸い取り器を使うと、溶かしたはんだを吸い取ってくれるので作業効率が格段に上がります。
はんだ吸い取り器でなくても、はんだ吸い取りテープでも良かったです。200~300円をケチって損した気分です♪
リミットスイッチの取り付け方法
取り外しに比べると、取り付けは格段に簡単です。
リミットスイッチの向きを間違えないように注意して、リミットスイッチの足を3個の穴に差し込み、はんだ付けしていきます。
はんだ付けのちょっとしたコツ。
一度にたくさんのはんだを付けてしまうと、位置決めが難しくなります。
そこで、仮止めするような感じで少しだけはんだを付けて、リミットスイッチの足が基盤に対して垂直になるように調整しながら作業を行います。
下の写真が取付後の写真です。(拡大すると汚いですね。。。)
リミットスイッチ装着後の試運転
はんだ付けの作業後、リミットスイッチが正しく取り付けられているかをテスターで確かめました。
下の写真で赤枠で囲った部分にテスターの端子を当て、裏面のリミットスイッチを手で押してONさせた時に導通状態(=抵抗値0Ω、導通ブザーONで確認)となればOKです。
さらに掃除機のヘッド部を途中まで復元して、床ブラシ駆動用のモーターが回転するかどうかを確認します。
僕は下の写真まで復元してから、モーターの動作確認を行いました。テスターをお持ちでない方は、下の写真まで復元してから動作確認を行うと良いです。
試運転の際にはモーターの回転部分(赤丸印)が動きますので、ご注意ください。
回転ブラシに付ける駆動ベルトは外しておいた方が安全です。
掃除機のヘッドを持ち上げると、リミットスイッチがOFFになりますので、床ブラシ駆動用のモーターが停止します。再度ヘッドを床に付けるとリミットスイッチがONとなりモーターが動きます。
モーターが動くと「やったぜ!」という気分になりますよ♪
分解した掃除機のヘッド部の復元
ヘッド部の復元は分解作業の逆の手順で行っていくだけですので、かなり簡単です。
過去にいろんな修理をしてきましたが、初めて行う作業の場合、分解:復元=8:2ぐらいの難易度ですね。
所要時間も分解:復元=8:2ぐらいの感覚です。圧倒的に分解作業の方が大変です。
赤いカバーをはめる時は、上の写真で見えている面を先に取り付けてから、写真裏面にあるツメをはめるとスムーズに作業できます。
復元後の掃除機ヘッド部
ちょっとした達成感を味わえます♪
まとめ 難易度別、修理方法一覧
実際に自分で修理をやってみた過程で、いろんな修理方法があることに気づきました。
そこで僕の独断で、修理方法を難易度別にまとめました。
このページで紹介した方法で修理することに自信のない方は、難易度の低い修理方法にするのもアリです。
(5段階評価★が多いほど難しい)
リミットスイッチの交換(★★★★) DIY中級者向け
【メリット】
・一番安く修理ができる。購入するお店にもよりますが、リミットスイッチは1,000円~2,000円ぐらいで買えます。
【デメリット】
・半田ごてを使って、リミットスイッチを脱着するのが大変(本ページで紹介した通りです)
・半田ごて、半田、はんだ吸い取り器などの道具をそろえる必要あり
・リミットスイッチの脱着がうまく出来ないと、基盤ごと交換となるリスクあり
基盤の交換(★★) DIY初心者向け
【メリット】
・基盤を丸ごと交換するだけ(=はんだごての作業がない)なので、リミットスイッチの交換に比べて作業が格段に簡単
・メーカー修理に出すよりは安い
【デメリット】
・基盤は4,000円~5,000円程度するので、修理費用が若干高くなる
・床ブラシの分解は必要なので、分解自体が難しいと感じる方にはハードルが高い
ヘッド部分の交換(★)
【メリット】
・ヘッドを丸ごと交換するので作業が発生しない。失敗がない。
【デメリット】
・18,000円ぐらいするので費用がかさむ。
≫【東芝ダイレクト リビングストア】東芝 クリーナー 掃除機 床ブラシ 4145H706
このページがあなたのお役に立てればうれしく思います。
対象機種一覧
リミットスイッチ(ABJ151460)を使用している掃除機の型式一覧
VC-BK300
VC-C3
VC-C4
VC-C7
VC-CG311
VC-CG510X
VC-J1000
VC-J2000
VC-J3000
VC-JS4000
VC-JS5000
VC-MG600
VC-MG720
VC-MG800
VC-MG900
VC-MG910
VC-MG920
VC-PC9
VC-PD9
VC-PG310X
VC-PG312
VC-PG313
VC-PG314
VC-PW7D
VC-S214
VC-S23
VC-S24C
VC-S312
VC-S33
VC-S43
VC-S500
VC-S520
VC-SG314
VC-SG412
VC-SG413
VC-SG414
VC-SG510
VC-SG512
VC-SG513
VC-SG514
VC-SG620
VC-SG711
VC-SG712
VC-SG900X
VC-V9D
コメント